前回、流しのコーヒー事業を例に、「顧客」「商品・サービス」「売り方」の3つが事業の基本構成要素になっていることを書きました。 実は、この流しのコーヒー事業には、後日談があります。
流しのコーヒー販売のスタイルは、豆や挽き方、水のこだわり等があったこともあり、“おいしい”と評判になり順調に売り上げを伸ばしていきました。そして、ついに店舗を持つようになったのです。すなわち、無店舗販売から店舗販売に売り方が変化したのです。
店舗を持ってしまうと普通の業態になってしまうのですが、豆はもちろんのこと、豆の挽き方、フィルターの種類(紙か布かなど)、淹れ方(サイフォンかドリップかなど)各々の要素においてバリエーションを持ち、それらを顧客に選択してもらうという売り方をすることでこだわりをアピールし、コーヒー通の人達を安定顧客として獲得していったのです。また、このA氏はイケ面であるという付加価値もあり(この付加価値は大きいのかもしれませんが)、カウンター席は、常連の女子達がシェアすることも多くなっていきました。このようにコーヒー店としてはやや尖がった存在となっていったのです。
しかし、コーヒーにこだわるため、コーヒーしか頭になく、当然コーヒーしか販売していませんでした。ところが、そこにスコーンしか頭になく、スコーンしか製造販売していない尖がったスコーン店から「ウチのスコーンをメニュー加えて、コーヒーとセットで販売してもらえませんか」という提案があったのです。こだわりのコーヒー店は、その提案を喜んで受け入れました。
コーヒー店としては付加価値メニューが増え、スコーン好きの顧客も来店するようになり、小さな発展へとつながっていったのです。
この時点になると、事業の基本要素は次にようになっています。
顧客:コーヒー通、及びスコーン好きの人
商品・サービス:こだわりのおいしいコーヒー、及びこだわりのおいしいスコーン
売り方:店舗での販売
基本の3要素の組み合わせを少しずつ変化させながら、売上を伸ばしていったことになります。
上記例に限らず多くの事業は、基本の3要素の組み合わせを少しずつ変化させながら進化し、そして売上を伸ばしていると思われます。