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更新日 2017-12-22

もっと身近にスピンオフ 〜スピンオフの実践的解説〜

第9回 「挑戦に向かうエネルギーの源」

株式会社リーディング・イノベーション
芦沢誉三(あしざわ よしぞう)


 今回は、私自身もまだ整理しきれていないことを紹介し、皆様にも考えていた だければと思っています。

 一般に、ベンチャー企業のエネルギーは、失敗すると路頭に迷うかもしれない という危機感と、キャピタルゲイン等の成功時のインセンティブが源になってい ると言われています。すなわち、リスクはあるもののリターンが大きく、崖っぷ ちの心理と成功の果実の双方あることが活性化の原点であるということです。

 話は変わりますが、最近、過去の研究開発の貢献に対して、研究者個人の報酬 をめぐる裁判が話題となっています。このことが注目を浴びている背景には、利 益に大きく貢献した研究開発には技術の貢献度に応じた報酬を研究者に払うべき という「成功報酬」の問題と、このような仕組みが一般化すれば研究者のやる気 につながり、企業の研究開発が活性化してくるという「研究開発の活性化」の問 題があると思われます。

 この研究者への報酬の問題を、先に挙げたベンチャー企業のエネルギーの源と 同じ角度から考察すると、リスクは小さいがリターンが大きいので、挑戦したい という気持ちになるということになります。

 さて、もし、「ベンチャーの創業」と「利益に大きく貢献する研究開発」のど ちらかに挑戦しろと言われたら、皆さんはどちらを選択するでしょうか。もちろ ん、リスクとリターン以外の多くのファクターが絡んできますが、単純に考えれ ばリスクが小さくリターンが大きい方を選択するのではないでしょうか。

 一方、米国には、たとえベンチャー企業の経営に失敗しても、敗者復活の社会 的な仕組みや、失敗者を「貴重な人生の経験者である」という見方をする文化が あります。そのため、日本ほど失敗を恐れずに挑戦できるということです。

 これらを考え合わせますと、リスクが小さくリターンが大きいという状況が、 挑戦心を生む原点になるのではないかという仮説が浮かび上がってきます。

 「日本人は、リスクに挑戦するチャレンジマインドがない」ということがよく 言われますが、「リターンを得ることに挑戦するチャレンジマインド」の方が、 より人間の本質的欲求に沿っているのではないかという気がしています。

 スピンオフというスキームは、リスクを軽減してリターンを大きくしようとす るものであり、人間の本質的欲求に沿ったものなのかもしれません。

 挑戦に向かうエネルギーの源については、次回も引き続き考えていきたいと思 います。

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