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更新日 2017-12-22

もっと身近にスピンオフ 〜スピンオフの実践的解説〜

第8回 「スピンオフの不安要因その5−親元企業のブランド」

株式会社リーディング・イノベーション
芦沢誉三(あしざわ よしぞう)


 スピンオフベンチャーは、資本関係など親元企業と何らかのビジネス上の関係 があります。従って、一般には、親元企業のブランドを利用できるという大きな メリットが生まれます。しかし、ブランドを利用できるということは、見方を変 えるとスピンオフベンチャー自身も親元企業のブランドを背負うことになり、ブ ランドに対して責任を負うことになります。

 ブランドは、短期間で培われるものではなく、信頼の積み重ねによって築き上 げられるものです。そのブランドを背負う訳ですので、ブランドに恥じない事業 運営や経営ができるかどうかということを不安に思うことは当然と言えるかもし れません。

 親元企業と密な関係のスピンオフベンチャーの場合、顧客との間に何らかのト ラブルが発生した際、顧客のクレームが親元企業にも及ぶケースがあります。親 元企業としては、ビジネス上の密な関係はあるものの、経営的な支援関係がない 場合には、クレームについては基本的に関与できないことになります。こうなる と、親元企業としても、関係を見直すべきだと言う声も出てきてしまう可能性も あります。仮に、親元企業が半ば見放すようなことになれば、顧客からのイメー ジも低下し、スピンオフベンチャーとしては大きな打撃となってしまいます。

 すなわち、親元企業のブランドというのは、基本的には大きなメリットになる 訳ですが、リスクも抱えたという言い方もできる訳です。スピンオフベンチャー としては、親元企業のブランドという大きな価値を受けられると同時に、リスク 要因も抱えるようになるということを認識することは大切になります。

 多くのスピンオフベンチャーが、ブランドに対する責任を持った事業運営をし ていけば、「スピンオフベンチャーというのは、親元企業のブランドがあるだけ に誠実な運営をするものだ」という認識が広まり、スピンオフベンチャーに対す る一般的イメージは向上することになると思われます。現実に、スピンオフベン チャー創業者の複数の方から、「親元企業に迷惑を掛けないようにすることを大 変意識した」というお話を聞いています。

 親元企業のブランドは、スピンオフベンチャーの企業カルチャーに、プラスの 価値をもたらすものと言えるかもしれません。

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