HOME | もっと身近にスピンオフ | スピンオフの不安要因その1−個人の身分

更新日 2017-12-22

もっと身近にスピンオフ 〜スピンオフの実践的解説〜

第4回 「スピンオフの不安要因その1−個人の身分」

株式会社リーディング・イノベーション
芦沢誉三(あしざわ よしぞう)


 前回までは、スピンオフの概略的理解をしていただくために、スピンオフの価 値や類似用語と比較することによるスピンオフの定義についてお話をしてきまし た。今回からは、少し具体的な事柄について解説していきたいと思います。

 しばらくは、スピンオフの不安要因について解説していきたいと思いますが、 その1となる今回は「個人の身分」についてです。

 スピンオフというのは一般的に、勤務していた親元企業を辞めてスピンオフベ ンチャー企業の経営者になることを言います。親元企業にいた時の身分が役員で はなく社員であった場合、スピンオフ後は取締役となり、いわゆる“経営者”と いう身分になります。

 このことは、雇用者から雇用主に身分が変わることを示しています。では、こ の身分の変化によってどのような変化が起きるかということですが、ひとつのポ イントは、失業時にあります。

 仮に、スピンオフベンチャーが解散ということになり、失業という状態になっ た場合には、スピンオフベンチャーの経営者だった者は失業手当がもらえない ということになってしまいます。何故なら、失業手当は雇用者であった者に対 して支援をするものであって、雇用主であったものを支援するという考え方にな っていないためです。従って、このことは、スピンオフをする際のリスク要因の ひとつと言えます。

 しかし、失業時の補助については、経済産業省のスピンオフ研究会でも是正す べき事柄として指摘されていました。おそらく、この点については、是正されて いくものと思われます。多くのベンチャーは、経営者という身分の者が雇用者的 労働者となっており、従って、経営者と雇用者という身分の区分は、創業期のベ ンチャー企業には全く意味をなさないものと言えます。

 身分が変わることによるもうひとつのポイントは、信用力の変化があります。 具体的には、クレジットカードなどの加入審査において、低く評価される可能性 があるということです。

 これは、親元企業の“ブランド”という信用力がなくなってしまうためです。 知名度の高い会社に勤めていると、気づかない所で得をしていることもあるよう です。

 クレジットカード会員などに加入しにくくなることに対する対応策は、スピン オフする前に会員になっておくことです。単純なことですが、このようなことも スピンオフ時におけるちょっとしたノウハウかもしれません。

目次ページ