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更新日 2017-12-22

欲求の本質に迫る

第26回 
新規事業開発の矛盾の背景

株式会社リーディング・イノベーション
芦沢誉三(あしざわ よしぞう)

「新規事業開発は、難しい」と感じている方は、残念ながら多いのではないでしょうか。
ニーズを発掘することが難しい、競争に打ち勝つ技術と事業モデルをつくることが難しい、事業化プロデューサー人材がいないなど、様々な壁にぶつかり悩んでいるものと思われます。

上記した事柄は、企画の進め方や人材の側面での難しさの要素ですが、今回は、意志決定を行なうトップの方々の欲求という側面から新規事業開発の難しさを Deep Thinking したいと思います。

「新規事業開発の成功確率は、1000に3つ」などと言われていますが、これは、研究開発に着手したテーマすべてを分母しているため、かなり低い数字となっています。また、最近の調査データというものがないため、正確な確率は分かりません。しかし、実際に商品化、事業化したテーマの数を分母として成功確率を調査したとしても、恐らく50%を越えることはないと思われます。すなわち、残念ながら失敗する確率の方が高いということです。
失敗する確率が高いことを、好き好んで行なう人は、普通に考えれば少ないと言えるでしょう。

ここで、話をちょっと変えてみます。

パチンコ、パチスロの参加人口は、最近減っています。理由は、ギャンブル性が低下したことにあります。すなわち、規制オの強化により。勝った時の見返りが少なくなってしまったのです。
一般の人では、パチンコ、パチスロで勝つ確率は、恐らく50%以下だと思います。しかし、負ける確率が高くても、勝った時の見返りが大きいと、挑戦したくなるのが欲求というものです。別の言い方をすると、見返りが小さいと挑戦する気持ちが芽生えないということです。

ここで、話を新規事業に戻します。

 新規事業も、成功した時の見返りが大きいと挑戦したいという気持ちが湧いてくるのではないでしょうか。しかし、現実には、新規事業テーマは小粒になっており、そのため、トップの決断も勢いがつかず、何となく宙に浮いてしまうという現象が起きてしまっているものと思われます。
 新規事業の意思決定は、トップマターです。しかし、見返りが小さいとトップが興味を持てなくなり、トップの心の中では、自分の問題ではなくなってしまうようです。すなわち、トップが判断すべき問題にも関わらず、トップが判断する意欲をなくしているという、「イノベーションの矛盾」が起きてしまっているということです。

 新規事業は、このように人の欲求と心理が関係しており、このように欲求や心理という側面から見ると、「イノベーションの矛盾」が結構存在しています。

 4月度より、弊社主催の研究会がスタートしますが、このようなイノベーションの矛盾を考慮しつつ、新規事業開発の新しいスキームについての議論を参加企業の方々と行ないたいと思います。



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